池澤夏樹『静かな大地』(朝日新聞社、2003)を移動中などに讀む。結構厚い本だが、ぐいぐい引き込まれるので休みなく讀む。
休暇中の收穫。三省堂『新小辞林 第二版』(1975)、誠文堂新光社『和英併用机上辞典 増訂版』(1964)。何もらつてきてるんだか。机上辭典については、項目毎に掲げてあるペン字見本が興味深かつたためであるが。
23:47
はしやぐ人々 忙しなく
常識の厚さでまばらに動く
遠卷きの人々 忙しなく
動かない足と追ひ續ける目
意味のありさうな文面を書く人
純化された常識にすがる人
嘲けてゐる目で羨む人
要するに生眞面目
愉しめない人
恨み言を
一つ
23:52
『聚珍録』刊行記念セミナー NEW 2005年6月4日 於 印刷博物館(東京・飯田橋) - moji - 文字・組版・印刷
これ以外に告知されてゐるところはあるだらうか。この日は行く氣がしない豫定が入つてゐるのが難點。……といふか、その豫定を無視してでもこちらに行きたい。うう。
21:00
一度もまともに展開できたためしがない。
01:51
修士課程で研究に値するといへるRSSリーダーつて、たとへばどんなだらうか。とりあへず、推薦の仕方の研究はいいのか。現状でははてなとか、Bloglinesの機能を追ひかけてゐるだけに見えるのなあ。
22:44
一年ごとに煙草を年齡制限を上げていく(來年から21歳しか吸ゑませんとか)としたら、平和的に煙草撲滅できるかしらん。とりあへず歩き煙草は何はなくともやめてください。
21:46
舞姫を少し讀む。エリスの子供できたで讀み止める。歸りに齊藤美奈子『妊娠小説』を立ち讀み。いつのまに子供できたんだらうが冰解する。ところで、イワタメインなのだけど、時折違ふ書體(多分本蘭のM?)の漢字が混ぢつてゐるのは、何、これ。
圖書館で福田ますみ『されど我、處刑を望まず』を借りる。報道では被害者、加害者といふくくりをされてゐるのに過ぎないので、ここの被害者に立ち入つた想像などがなされないのは仕方のないことか。しかし、報道の整備に對して日本が狹すぎるのかもしれないとも思ふ。各地のニュースが疎になるのも考へものであるのだが、かうもあちこち飛び込んできては、野次馬的報道しか術がないのかもしれない。一審が早すぎて決定が遲すぎる? いろいろな思考が飛び交ふ。
自分の身近な人が殺されたら自分はどう思ふだらうか。以前にも書いたとほり、何をしていいのかわからないといふのが實際だらうと思ふ。もし犯人を憎んだとしても、國家如きに自分の怨みを代行して欲しいとは間違つても思ひたくないとは思ふ。
被害者支援の問題は、死刑廢止の最も大きな問題であるとはわかつたのだが、どんなことでもさうであるやうに、起きてすぐではなく、起きてしばらくしてからの被害者の聲があまりに少なく、どう想像していいのかわからない。まづは被害者やその家族の聲を聞くこと。また、被害者やその家族が聲を發することができるやうにすること。そこから始まるのだらうか。
23:18
ニ割引かあ……。『組版源論』がないのは惜しいなあとひとしきり。通常ならば\17,115-のところ\13,962-。これは豫定を捨てでも行けとの命なのか。あれ、でも、私いまそんなに金持つてたかな(痛)。
21:14
「なんで人間は同じことをするのにいくつも方法を作るんだらう。」
僕がさういふと、サキちやんはすぐに答へず、とんと立つて黒板へと走つて行つた。
「さう……。なんででせうね? ともかくも、キミがいふのはかういふことだよね」と云つて「モノを作る方法」と書いた。
「でも、さう、たとへばスプーンを作る方法はどうかしら。昔はスプーンは木から作つてゐた。だけど、もつとスプーンに向いた材料が見つかつたの。金屬よ。鐵とかのね。木は削つて作るけれど、金屬は叩いて作るの。つまり、かう變はつたと言へないかしら」と云つて少し間を空けて、「モノから モノを作る方法」と書いた。
……後がつづかないので書きかけで流す。
21:35
女手といふ呼びかたは、女には楷書で文字を書くことはできない、といふ差別であつたかもしれないし、楷書を制限されたのを、崩すことでその制限を破つたのかもしれない。
裏づけはないのであるが、漢字を崩したのと、かなを崩したのとでは、書き方が變はつてくるのではなからうか? さうなのであれば、「かな」の誕生を決められるやうな氣がする。
22:32
いま、Opentype featureが有效だつたり、Adobe-Japan 1-4以上のグリフを實裝したりしてゐるフォントを買つたところで、對應したソフトウェアがない。鬱。OOoは、Adobe-Japan 1-4とか需要ありさうなので覺えておいてくれたらうれしいです(他人事)。
21:48
三省堂に思ひだしたやうにプリントアウトをくださいとメールを出したらプリントアウトと正誤表を入手することができました。これでレア版のレア性は保證されました(笑)。
22:37
Orkut経由でGMailのアカウントを作れると発見。作る。……だけど、使ひ道がないなあ。oo(dot)kzhr(at).(dot).gmail(dot)com。右のアドレスにそのまま送らうとしても無理なのでうまく書き換へてください。
18:53
といふわけで、又齡を一つ増やしたやうです。
00:00
由紀は一歩登るたびにサチの足の幻影を見た。由紀のリズムとサチのリズムが一致して薄暗い階段を木靈した。階段が終つて屋上のドアの前に立つて、取つ手に手をかけた。さびてざらざらしてゐるのと、冷たいのとで心地が惡かつた。取つ手も扉も重かつた。扉さへも私に逆らふのか。
屋上には誰もゐなかつた。コンクリートを葺いただけの屋上には、ところどころに龜裂が入り、そこから草が生えてゐた。縁には手すりがあつた。これもさびてゐて緑色のペンキがわづかに殘るだけだつた。あの事件から付け直した跡はない。
わかる。愛でていつた花。手すりの前に巡り歩いた道のり。手すりに殘つた手と足の跡。何もかもが解る。
由紀は段を下りて迷ふこともなく屋上の眞ん中の草の前へ行き、しやがんで撫でる素振りをした。そのとき不意に由紀はこのときサチはどんな顏をしただらうと思つた。すぐに思ひついたのは、儚げに笑つたのであらう、といふことだつた。しかし、何もかもを憎んだ目で見たかもわからない、と思つた。わからない。由紀は立ち上がり、空を見た。羊雲が群れを成して流れていく。サチは、この空を見ただらうか。
16:44
けふは津田沼の九十九ラーメンの上の中華料理店で晩餐をば。結構なお値段でしたが、大變よろしうございました。ライチジュースを飮んでみたり。美味。
下の小説、とある歌手のデビュー間もない頃の歌から思ひついたのですが、あの歌は達觀してゐる感じだから、失敗かも。何せ、「舞いあがる」。
22:21
Anandaさんからよくわからんと云はれたし、氣に入らないしで書き直し。少々變はつてゐるところはありますが。
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階段には明り取りの窗が小さくあるだけで薄暗かつた。階段を一歩登るごとにサチの足の幻影が重なる。サチのリズムと呼應して薄暗い階段を木靈してゐる。さう、こんなに歩いたのだ。屋上まで後三十一段。屋上の扉には鍵があるけど錆び朽ちてゐるから問題ない。由紀にはなぜかはつきりと判つた。屋上へと出る扉を前にして、由紀は初めて深呼吸した。取つ手に手をかけて力を込めると、ばきばきと鍵が音を立てて壞れ、扉が押し開かれて太陽の光が差し込んできた。
つひに來た、といふ思ひはしなかつた。何度も見てゐる光景。由紀は扉を閉めて、改めて屋上を見渡した。屋上には誰もゐなかつた。コンクリートの龜裂に生えた草花、へりに巡らされた手摺、あの事件から變はつたものはなにもない。
わかる。サチが愛でていつた花。手すりの前に巡り歩いた道のり。手すりに殘つた手と足の跡。何もかもが解る。
由紀は靜かに、しつかりとした足取りで花の前まで歩いていつてしやがみ、さやうならを云はうとした。しかし、ちよつと先の水澑りに雲が映えてゐるのに不意に氣づいて、知らぬ間に立つてゐた。空がある。初めて見る空。サチが手摺に手をかけてから一寸微笑みをかけた空。由紀は一氣に褪めていく感覺に戸惑つた。
さう、それでいいのよ。死者の聲は生けるものには屆かない。
21:44
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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