長崎に行つたとき、原爆資料館の後に、浦上天主堂を訪れた。班別行動で、訪れることになつてゐたのであつた。既に天主堂は人でごつた返してゐた。禮拝者を思うて胸が痛んだ。しかし、無責任な同行者はかういつた。「何もなくてつまらない」と。そのとき同行者に何もいへなかつた私は今ここで密かにつぶやく。「ほんたうにさうだつたらうか?」
21:32
あるところで大量殺人が起きる。被疑者が逮捕される。大部分の遺族は死刑を望むが一人死刑反對を唱へる。しかし報道の都合などで意見はかき消される。被疑者は送檢され吿訴され死刑に處された。意見を消された一人は意見をかき消した人々に慰藉料を請求したい。だが、誰にすればよいのか?
(この問ひではcrimeとsinとが區別できない感じもしなくはない)
23:38
石川九楊著『二重言語国家・日本』(日本放送出版協会、1999)を讀む。牽強付會的な議論ではあるのだが、日本語は中國語の被植民地語であつた時代があつたとするなど、卓見も散見されて、この本だけを論據に云々することは難ありとしても、參考文獻の一册に加ふのであれば、攷察が深まるかもしれない。
14:21
アンドレ・バーナード編著・木原武一監修・中原裕子譯『まことに残念ですが…―不朽の名作への「不採用通知」160選』を買ふ。面白おかしい。
23:24
けふは伊能地圖展 de 日大文理學部に行きました。美國議會圖書館で見つかつたとかいふ大圖と、法國の教授さんがなぜか持つてゐた中圖を日本に歸參した記念で開かれたのですが、いやあ、大圖つてとても大きいですね。縮尺は1/25,000ださうです。知つてゐる土地を見て囘つたり、噴煙を上げる阿蘇山を見たりして樂しく過ごしましたが、いくつかの地名で、書寫者がどういふ字形意識を持つて漢字を書いたものか、いくつか見たもので、特異なものをあげてみます(おまへは何をしに行つたのだ)。
まづ、先も擧げた「阿蘇山」。蘇の、四畫の艸冠に魚と禾が入替はつた状態になつてゐます。廣島は、廣が一般的な書字書體で、島の上部が、自と丶が組合はさつた字形となつてゐます。御所は、一を冠に頂き、そして、ツと斤が隣合つた字形とでもいひませうか。少々奇天烈でありました。
なほ、勿論地圖は楷書體で書かれてゐましたが、外字に起こす際に、明朝體風に改變したことはお斷りして擱きます。字母はIPA明朝です。
23:18
講談社ゼミナール選書『日本語は乱れているか』を讀んでふむと思つたのは、要するに、國語改革は規範化のためにおこなはれたのだといふことであつた。すなはち、「愚癡ぐちいふ」のやうなのを是とせず「ぐちぐちいふ」とせよ、といふのが國字改革であつた。假名遣ひや漢字の字數、字體は副次的な要素であらう。
さて、書き順やはねるはねないの違ひなどを重視する教育によつて楷書による字體の均一化が行はれた。その徹底が活字を書字に引き寄せた字體改革ではなかつたか。
伊能地圖に見られた字形は現在の私たちの持つ字形と異なつてゐた。その筆者はどのやうな字形を頭に置き、それはどこからやつてきたか、といふのは調べてみて面白いことではないだらうか。
23:23
昨日の話は途中で考へが變つてまとまりが尚更無くなつてしまつた。この問題は手を染めて時間が經つてゐないので仕方がないとする。
土岐氏の腦内はさうかもしれないが、或は今までの活動からの自然の流れとして規範化がもともとあつたのではないか、と私は豫測するのであるが不到定見。闇雲に書物をあたつてゐる。
23:06
M+のフォントが、cozさんの絶え間ない修正によつて最初期と相當趣を異にしてゐる。よいことだ。M+ 1のひらがなは生理的に受付けなかつたのだが、タイポスを見て考へたからでもあらうか、すんなりと受け入れることができた。
自分はどうであらう。ときをり、思ひだしたかのやうに修正し、アップロードするのみである。それでも、最初期のものよりは進歩してゐると信じたいではあるが。
23:24
忘れたことはすべて要らないと判斷したからなのだらうか。さうだとしたらこの腦は未だに阿呆だといふことだ。
23:27
22:46
鐵のなかの王を壬に作つてゐる活字が明朝體活字字形一覽に散見されますが(築地五號1913、米長老會、因みに築地二號1912、築地四號1914は王に作る)これはなんでせうか。英華書院については判別しかねたのですが、美華書館は明かに王でした。
23:42
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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