當用漢字、常用漢字も、實は、正字の體系の一つに他ならない。かう書けば正しいとするのが正字であり、その點において平頭通さんの仰る代表的な字体異体字対正字
といふのと、著目點で同一なのである。正字も參照されたい。
字形は、書體とその字を書く場面に依存してゐる。そのときにあるのは、その字形を一つにまとめる捨象の仕方であり、この場合字體といふのは限りなく具體的な形を持たない。對して、代表しうる字體があつて、それから字形が求められるのだ、といふのは、當用漢字や常用漢字、または、所謂康煕字典體、唐代の開成石經などの科擧標準字形、または、甲骨文字、金文や大篆から導かれた字形を根據にしなければ成り立たない。そして、そこには傳統といふ概念はないのだから、一對一の關係のみが成立し、異體字は特例的に生き殘ることができるのである。しかし、前者では異體字といふ概念は成立せず、ただ實裝の違ひのみがある。
JIS X 0213がいま使はれてゐる日本語を符號化するにはどうしたらいいか、といふ發想で起草されたからには、この兩者の中間を行くしかない。實裝するほうの問題だといふのは、むしろ卑怯でもなんでもなく、當然の姿なのではないか? 舊字だの正字だのも一つのコードしか與へないで、Adobe-Japan1-5 のやうな、グリフアクセスを勘案することで對處する、といふのが、要するに一番望ましいのではないか、といふことである。
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——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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