けふはなんのめぐりあはせか、ひとふでがきに移動した。移動路は略。新橋でうつかり横濱方面の電車に乘つて、品川が新設の單獨島ホーム――19番線? 品川發著なんてないのに、なぜホームができるのか私には分らない――でのりかへが面倒で西新井まで行くと、今度は對岸式であきらめて渡ると、小金井――武藏小金井ではなくて、東北本線は栃木縣の驛らしい、小山のひとつさき――いきが來て――ひとふでがきを完成させるために――新宿から歸るかと乘つたのは、今囘の經路でもつともひどいみちすぢだつた。終つてみればなかなか草臥れた。
まづ、松戸の戸定館といふところに行つて、松戸徳川家――慶喜家――舊宅を拜見し、『島霞谷: 幕末幻の油絵師』([松戸]: [松戸市戸定歴史館]、[1996])を買ふ。展覽會圖録。非常に興味深い圖録であることである。
そして、常磐線緩行線‐千代田線に乘つて國會議事堂前驛へ。あつがなつい。國會圖書館で『秀英舍創業五十年誌』(秀英舍、1927)を見ようとしたら利用不可だつた。3部も藏してるのに……。お晝は食堂のソースカツ丼。關東で供する店に行つたのははじめてかなあ。
最低限の調べものをしてTIBF: 東京國際ブックフェアに。FeZnさんと舩木さん、はてなダイアリーの「しろもじメモランダム」のなかのおかたとお會ひする。3人でイワタやDNPをながながと見學して散會。イワタの漢文フォントのレ點が許せない。DNPの自社書體といふと、明朝ばかり目が行くが、ゴシックだつて持つてゐる。それも當然「平成の大改刻」の俎上に上げられるのだが、秀英ゴシックといふのがいまいちイメージがないので――しかも改刻前の書體サンプルが置かれてないのでなほのこと――どう?と聞かれても困るなあといふのが感想。作るむつかしさは分るし傳はるのだが。所持金が足りなくてイワタ書體を買ひそびれたのが殘念。20%びきに引かれてのこりのお金をすべて使つてしまひさうになつたが、
藤本孝一『文書・写本の作り方』日本の美術505、至文堂、2008.6(もはや雜誌ではなく叢書だと思ふのだが、どうだらうか)
榎原雅治『中世の東海道をゆく: 京から鎌倉へ、旅路の風景』中公新書1944、2008.4
を買ふ。思文閣が善本とかで近世木活(35萬)だの西鶴(好色一代男、1200萬だつたかなあ)だのを持つてきてゐたので、せめてもの眼福に睨んでおく。雄松堂も、ぜんぶ複製だが、高さうなのばかり置いてゐる。かういふの見てると、八木が庶民的に見えてくる氣がするのだが、ひどいかんちがひですね、さうですね。カンブラス、ジュゼップ『西洋製本図鑑』市川恵理譯、雄松堂、2008.11(豫定)があるらしい。書店にはほとんど竝べないらしいので備忘のためにも。『国語・国文学図書総目録2008』なるものも貰ふ。シリーズの未刊を見るのにも樂だなあと思つた。
その後の歸宅は冒頭に前述。10時間ほどの外出で、いろいろと囘つたものだなあ。
22:50
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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