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2008年6月15日(日)

ラテン語學習者はPerseus 4.0をいかに利用すべきか

タフツ大學などの支援を受けてタフツ大學を中心にホストしてゐるPerseusといふ西洋古典人文學のための電子圖書館があつて、それなりに信頼のおけるテクストと、辭書類や語形分析などの機能が提供されてゐる。近年ではPerseus 4.0になつて、ラテン語・ギリシア語のみであるが、テクストのそれぞれの語をクリックすると、前接語を利用して語形のありさうなかたちを推定して(なにかの統計に基づくやうだが、詳細は調べてゐない)、その分析結果を表示し、同時に辭書の記述も參照できるといふ、それはそれは便利なしろものになつたのであるが、しかし、この機能が、ラテン語學習初期段階においてはなんとも使ひにくいしろものでもあるやうに思ふのである(附言して曰く、もちろん、分析結果はありうるかたちを示すだけであるから、前後のかたちをよく見て判定しなければ、かならず讀みちがつてしまふ、すなはち、まつたくの初學者には縁がないものである)。

知られるとほり、印歐語の屈折は相や法、性數などによつて定まるのであり、曲用は品詞、數と格などによつて定まる。これまでの學習法では、どんな活用パターンを示す語で、そのなかのどれにあたるのかといふことを、學習者は全體から考へなければならない、とされてきた(これからもさうだと思はれる;日本語の語形變化にどのやうな持論があらうとしても、語形變化の大綱を教へずして非母語としての日本語教育はできなからうやうに)。ところが、活用表が教へないことがやまほどある以上に、この分析結果は教へない。ひつかかることを學ぶ機會をわざわざ捨ててしまふやうなものではなからうか。

では、活用表が自由に思ひうかべられるやうになつてしまへば、このツールは至便なのであらうか。それはあるかもしれない。曲用や屈折の類別がすぐに見えない語といふのも多いし(primoはadv.かn., sg., abl.か?)、忘れることだつてある。なにより、辭書をすぐ引けるのがよい。A Latin Dict., Elem. Latin Dict.ともども、親切な辭書ではないが(使ひたふしてもゐないのでかゆいところに手が屆くやうな氣の利いたものかもわからない)。といふところで、いかに利用すべきかといふ盡きないとひへと戻る。

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