2008年1月6日(日)
今囘は第十を收める。
○第十 七のもるたる科の事
弟 でうすの御おきてのまだめんとゝさんたゑけれや〔ママ〕まだめんとをば はや教へ給ひぬさて又もるたる科はいくつありや
師 科のしなはおほしといへどもよろづの科のこんげんとなる科は七あり○一にはけうまん二にはとんよく三にはじやいん四にはしんい五にはとんじき六にはしつと七にはけだい是也是をすべてもるたる科と云也」(五十五オ)
弟 此等の科をそうじてもるたる科と云事いかん
師 をよそ是皆もるたる科なりと 云へども事によりてべにある科となる事 おほし
弟 もるたるといへるいはれはいかん
師 もるたるとは死るをさづくると云心也 あにまの一命はでうすのがらさよりうけつゝき奉る也もるたる科はあにまの命をたつによてもるたると云也 然れどもあにまの正體はをはる事なき者なれば死るをさづくるとて其時をはりありとおもふ 事なかれたゝいつまでもくるしみをうくる所をさして死すると云也
弟 もるたる科はあにまの爲にいかなるそん」(五十五ウ)となるぞや
師 其そんおほきなかにも とりはき御作者でうすを とりはなし奉り御やくそくのぐらうりあ又は御主の御ちをもてすくひ玉ふ我があにま色身共にいんへるのにしづめ 御主ぜずきりしとの 御はしよんの御功力と又もるたる科にけがれずしていたるあひだに つとめし 所のぜんごんの功徳をうしなふ者也
弟 もるたる科を をかす時はひいですをうしなふや
師 其儀にあらず右にいひしことくもるたる科をもてでうすのがらさをうしなふといへどもひいですをばうしなはず其故はひ」(五十六オ)いでずを うしなふ未知は ひいですの事をいづれなりとも信じ奉らぬ事也それによてもるたる科ををかすとてもきりしたんのひるかへす事にはあらず
弟 もる たる科をもてでうすのがらさをうしなひ奉るにをひてはゑけれじやへ參りおらしよを申善事ぜんごんを致す事もゑきなしや
師 すこしも其儀にあらず其時こそいよ/\あゆみをはこびおらしよを申力の及ぶほど善事をすべき事肝要なれ 其故は其時なをなんぎにあふ故也 其外善事より出るくどく是おほしとりはき我が身をかへり見科をこうくはいし以後二度おかす」(五十六ウ)まじき爲 又御主より そくさい財寶を與へ玉ふ爲に大きなるたよりとなる也
弟 もるたる科をゆるさるゝ道はいかん
師 科はでうすに對し奉りての らうぜきなるによてそれをくひかなしひ以後二度をかすまじきとおもひさだめ やがてこんひさんを申へきかくごをもて科を くひかなしむ事是こんちりさんとて科をゆるさるゝ道也
弟 べにあるとがとは何事ぞ
師 もるたるとがよりもかるきとが也 是即でうすのがらさをうしなはすと云へどもでうすの御大切と 御奉るにすゝむ心をゆるかせになすが故に もるたるとがのはしとな」(五十七オ)る也
弟 此等のとがをべにあると名付る事はいかん
師 べにあると云はゆるしやすきと云心也 此とがをでうすよりたやすくゆるし玉ふによてべにあると云ふ也
弟 此とがの御ゆるしを 蒙る道はいかん
師 何たるさからめんとなりともさづかりみいさををがみあやまりのおらしよを申びすほのべんさんをうけ あぐはべんたをそゝきこうくはひを もてむねをうち信心をもてはあてるなふすてるの おらしよを申其外何たる所作にてもあれこんちりさんのしるしとなる事を する時はゆ」(五十七ウ)るし玉ふ也
弟 惡のこんぼんとなる右の科をしりそくべき爲のたよりありや
師 あまたのたよりあり 此七の科に むかふ七の善あり 其外あにまの三のほてんしや色身のせんちいどすをまもるたしなみ是也
弟 其七の科にむかふ善はいづれぞや
師 一にはけうまんにむかううみるだあで二にはとんよくにむかうりべらりだあで三にはじやいんにむかうかすちだあで四にはしんいに むかう†はしゑんしや 五にはとんじきにむかう てんへらんさ六にはしつとにむかうかりだあて七にはけだひに」(五十八オ)むかう でうすの 御奉公に すゝむ ぢりぜんしや是也 此けだいと云はでうすの御奉公の爲に みだりなる かなしひたいくつの事也
弟 あにまの三つのほてんしやとは何事ぞ
師 一にはすぎし事をおもひ出すめもうりやの せい二には 物を知りわきまゆる ゑんてんぢめんとゝ云せい三にはにくみあいするにかたぶくおんたあてと云せい是也
弟 何とて是を あにまのほてんしやとは云ぞ
師 あにまにそなはる三のなつらるせいなるゆへ也是は此身を はなれて後もあにまにともなひ行者也是をもて即後生のくらくをうくるたうぐとなる也」(五十八ウ)
弟 色身の†せんちいどすはいくつありや
師 五あり是即げんにびぜつしんの事也
弟 是を何とて†こるほらるせんちいどすとは云ぞや
師 是即身にともなふ物なるが故に身のはつると共にはつる者也
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——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め (中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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