2008年1月6日(日)
今囘は第七ををさめる。
○第七でうすの御掟の十のまんだめんとの事
弟 右にははやよく達してでうすへ物をこひ奉り信じ奉る爲に肝要なる儀をあらはし給ひし也 今又善をつとむる道を教へ給へ
師 たもつ爲に 御おきてのまんだめんとゝさんた ゑけれじやのまんだめんとを知り同じくしりぞくべき 爲にはもるたる」(四十ウ)科を知る事專也
弟 御おきてのまんだめんとは何ヶ條有や
師 十ヶ條也 是即二に 別る也 初の三ヶ條はでうすの 御いくはうに あだり奉り今七ヶ條はほろしもたがひの徳の爲也
第一御一體のでうすをうやまひたつとひ奉るべし
第二貴き御名にかけてむなしきちかひすべからず
第三どみんごいはひ日をつとめまもるべし
第四汝の父母にかう/\すべし
第五人をころすべからず
第六じやいんをおかすべからず
第七ちうたうすべからず」(四十一オ)
第八人にざんげんをかくべからず
第九他のつまをこひすべからず
第十他の寶をみだりにのぞむべかず
右此十ヶ條はたゝ二ヶ條にきはまる也一にはたゝ御一體のでうすを萬事にこえて御大切にうやまひ奉るべし二には我身のごとくほろしもをおもへと云事是也
弟 第一のまんだめんとをば何と樣につとむへきや
師 眞のでうす 御一體をおがみ奉り御ほうこうをぬきんてゝ われらが御合力と御へんほうを たのもしく まち奉り我等が きちじの みなもとにて 御座ませば此等の事を頼み奉るべし又でうすの」(四十一ウ)ごとく御作の物をうやまはさるを もて此まんためんとをたもつなり
弟 ひるぜんさんたまりあ又其外のべあと達をおがみ奉る事はいかゝあるべきや
師 でうすのごとくにははいし奉らずたゝでうすのがらさを以て現世にて善行をつとめ給ひきどく なる御所作をなされたる御人なれは今でうすの御なひせうに叶ひ玉ふによて我等が御とりなし手と もちひ奉るべし
弟 第二のまだめんとをは なにとまぼるべきや
師 眞と善事といるべき事より外はちかひをする事なきを以て 此まだめんとをま」(四十二オ)もる也
弟 眞にちかひをするとは何事ぞ
師 いつはりとしりながらせいもんをする事又は眞かいつはりかとうたかはしき事にちかひをなす事は でうすをきよごんの證據にたて申によてたとひかろき事なりとももるたる科となる也
弟 すくなる 事に せいもんを するとは 何事ぞ
師 たとひ眞なる事に せいもんをすると云共すくなる事に あらずは其だいもくのしなによてもるたる科かべにある科かになる者也 たとへばもるたる科をおかさんとのちかひならば もるたる科となりべにあ」(四十二ウ)る科をおかさんとの ちかひをなさはべにあるとなる者也
弟 いるべき時とは何事ぞ
師 たとひ眞實にすくなる事にせいもんすると云共いらさる時に ちかひをなすは事によて もるたる科にはならずと云ともべにある科をもるゝ事あるべからず
弟 でうすより ほかに 前〔正しくは別なるべし〕の者に かけてせいもんする事ありや
師 なか/\あり たとへば くるすべあと達にか又は貴き事にかけてか我が命にか其外いづれの御作の者にかけてぢかひ〔正しくはちかひなるべし〕をする事もあり
弟 そらせいもんを ずまじき〔正しくはすまじきなるべし〕爲のたより」(四十三オ)となる事ありや
師 つねにせいもんせさるやうに たしなむ事也
弟 然らば者のじつふを ことはる爲にはいかゝ云べきや
師 眞にと云か眞實と云か又はうたかひなしひつぢやうなりと云たくひ也
弟 第三のまだめんとをば何とまもるべきや
師 是をまもるに二の事あり一にはどみんごとゑけれじやよりふれ玉ふいはひの日所作をやむる事也 たゝしのがれぬしさいある時は所作をしても科にならさる事有り 二にはか樣の日には一度のみいさを始よ」(四十三ウ)りをはりまでおがみ申事也是もわづらひかもつともなる しさい有時はおかまずしても科にはあらず
弟 第四の まだめんとをば 何とまもるべきや
師 をやによくしたがひかう/\をつくしうやまひをなし よう有時は 力をそゆる事又人の下人たる者は 其身の主人其外つかさたる人々に隨ひ奉公にゆるせなきをもて此まだめんとをまもる也
弟 父母主人つかさたる人々より科となる事をせよといひ付られん時も隨ふべきや
師 をや主人つかさたる 人によく隨へと云事は科にならある ことをいはれん時の 事也」(四十四オ)でうすの 御おきてを そむき奉れと いはれん時の事にはあらず
弟 第六の まだめんとをば何と まもるべきや
師 人に對して あたを なさずがいせずきずをつけず 此等の惡事を人の上にのぞまずよろこばざるをもて たもつ者也其故は我等がほろしもは皆でうすの 御うつしに作たまへば也
弟 主人として ひくはん以下を せいばいする事叶ふまじきや
師 すくなるしさい有て我がしんだいする者共をば がいする事も叶也 すくなるしさいなき時はころす事叶はずたとひ又すくなる」(四十四ウ)しさい有とても我がしんだいにてもなき者をばころす事なかれとの御いましめ也
弟 人の上に 惡事をのぞまざれとはいかなる事ぞ
師 ほろしもに對していこんをふくみあたをなしたくおもひ 或は中をたがひことばをかはさぬ事は此まだめんとをそむく儀也
弟 第六 のまだめんとをば 何と保つべきぞ
師 ことば 所作を以て なんによともに いんらんの科を おかすべからず 又はみづからをかす事も同じき科也
弟 何とてことば所作をもてとは宣ぞ心に是をのぞむ事も同しき科となるべきや」(四十五オ)
師 心中にのぞむ事も科なれどもそれは第九のまだめんとをやふる別の科也
弟 此まだめんとをたもつ爲のたよりとなる事いかん
師 あまたの事 ある中にくい物 のみ物をあくまでに せざる事 あしき ともとまじはりをやむる事こひのうたこひのさうしをよまずこひのうたひをうたはす叶に をひてはきかざる事也
弟 第七の まだめんと をば 何とたもつべきや
師 他人の財寶を何なりとも其主の囘心なくしてとる事もとゝめをく事もあるべからず人にも此等の事をすゝめず其合」(四十五ウ)力をもせず其たよりともなるべからず
弟 人の物をぬすみたくおもふ事は此まためんとをやふる科にあらずや
師 科 なれどもそれは第十ヶ條目の まためんとをそむく別の科也
弟 第八のまためんとは何とたもつべきや
師 人にざんげんを 云かけずそしらず人のかくれたる科おをあらはすべからずと云へ共其人の科をひきかへさすべき心あてにてつかさたる人につげしらせ申事は叶ふ也人の上にじやすいせずきよごんを云べからず
弟 第九のまた めんとをば 何と分前〔ママ〕致すべきぞ
師 他人のつまを こひせず其外れんぼにあ」(四十六オ)たる事を のぞむ べからずいんらんおまうねんにくみせず又はそれによろこびしうぢやくする事も有べからず
弟 いんらんの ねんの おこる たびごとに科となるや
師 其儀に あらす其ねんをよろこばすそれをすつる時はかへつて功力となる者也 もし又其ねんに くみせすと 云とも心にとゝめよろこふ時は科となる也
弟 第十の また めんと をば 何と 心得べきぞ
師 他人の財寶をみだりにのぞむべからす
弟 今此十ヶ條のまだめんとは二にきはまると云へる事をしめし給へその二とはいかなる」(四十六ウ)事ぞ
師 萬事にこえてでうすを御大切におもひ奉る事とわか身をおもふごとくほろしもを大切におもふ事是也
弟 萬事に こえて でうすをば何とやうに御大切におもひ奉るべきや
師 財寶ほまれ父母身命此等の事に對してでうすの御おきてをそむき奉らずしてたゝ一へんに御大切におもひ奉るにきはまる也
弟 でうすの御おきてをまもる爲のたよりは何れぞや
師 其たよりはおほき也とりはきねやをおきあがりて よりはでうすの 御恩を存じ」(四十七オ)出し御れいを申上げ奉るべし又其日御おきてを そむかずして御をんたあでにしたがひ身をおさむる爲に御まもりを頼み奉り おらしよ申し奉るべし
弟 ねざめにもおこたらず其分つとむる爲には何事をすべきや
師 まづ ねざめに 其日の心と ことばと所作とのきうめいをし をかせる科の御赦をこうくはいを以て こひ奉り 同じく がらさをもて 進退をあらためんとおもひ さだめさうたうのおらしよを申上べき事なり
弟 ほろしもをば わか身のごとく 何と樣におもふべきや」(四十七ウ)
師 でうすの御おきてに隨て わか身の爲にのぞむほどのよき事をほろしもに對してものぞむべき者也
弟 でうすの御おきてにしたがつてとはいかなる事ぞ
師 こゝにしさいありでうすの 御おきてにそむきてほろしもの爲に 何事なりとものぞむときんば たとひ我身の爲にのぞましき 事なりと云とも わか身のごとくにほろしもを おもふには あらずたゝわか身をにくむごとくにほろしもをにくむ事也
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——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め (中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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