いま講義を受けてゐる講師から聞いた、小松英雄が院生の發表にだか云ひはなつたといふことば。しかし、國字大字本は木活字だとかいふ珍説を市井外喜子・根岸亜紀『天草版平家物語研究』(おうふう、2007.3)でみて、こちらは50年だ、と思つた。
「書記」(まだこの用語を認める氣になれない)の話題はたいへんスリリングで、いろいろな研究状況を知ることができるほか、教授の難といふことも考へてしまふ。うまい先生ではあるとおもひます。
一昨日借りたもの。
市井外喜子・根岸亜紀『天草版平家物語研究』おうふう、2007.3。根岸の、ローマ字本だけを頼りに音韻を再構しようとする試みは評價できるが、あまり成功してゐないやうに見える。
昨日買つたもの。
川本皓嗣・小林康夫編『文学の方法』東京大学出版会、1996.4。獨佛文が多い。石井ゴシックと精興社明朝がミスマッチ。精興社はギリシア文字は寫植化してゐないらしい。寫研のは無慘なのだが。
坂井博通『大学教授コテンパン・ジョーク集』中公新書ラクレ、中央公論新社、2005.7。400圓を出すのは間違つてゐたかもしれないが、悲哀悲哀悲哀。
今日借りたもの。
原條あき子著、池澤夏樹編『やがて麗しい五月が訪れ 原條あき子全詩集』書肆山田、2004.12。原條のリズムはとてもよい。飽きもくるが、5・7を離れてしかも音律は美しい。小説らしいものも載つてをり、これは鋭さと怯えのない金井美惠子のやうではないだらうか。「おまえは清い焔 その手に燃やし/わたしは墮ちよう 暗い生に通い」(「別れ 7, 7, 48 To my darling Natsuki on his third birthday」)。池澤夏樹が語る母のことは、原條の詩への數少ない評論であり(『マチネ・ポエティク詩集』に他の詩人と一緒に評されてゐるのが、ほかでは唯一ではないか)、生涯をかたる數少ない評傳である。また、池澤自身についての。
沖森卓也『日本語の誕生 古代の文字と表記』歴史文化ライブラリー151、吉川弘文館、2003.4。
22:45
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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