25日に米原萬里が亡くなつてゐたらしい。56歳で、卵巣癌であつたさうである。このまへからをもしろいな、とおもつて彼女のものをよみはじめたところであつたので非常に驚いてゐる。池澤夏樹の事務所のやうなことをしてゐる(あるいはさうなのかもしれないが)impala といふウェブサイトで、2004年のものだつたが、彼女の書評が5/19に出てゐたから、なほさら突然のことのやうに驚かれる。
さて、追悼と書いてしまつたけれど、いままで書いてきた書評でだいたい彼女とのことは濟んでゐる。けれども、このまへなんとなく開いた小説トリッパーで、金井美惠子が『文章教室』で書いてゐた小説家が亡くなつたところで、その小説化の書評を書きもしたトリッパーの小説の主人公が、葬式などに行くのではなくて彼の作品を讀んで追悼するのだ、と書くのを思ひだし、それに倣つていま『不實な美女か貞淑な醜女(ブス)か』(新潮社〈文庫〉)を讀んでゐるのだが、このゆたかな筆がもう動かされることはないのかとおもふと哀しくおもはれる。
『一冊の本』(第11卷第6號、朝日新聞社、2006.6)來る。
22:39
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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