Diary/ + PCC + — HIMAJIN NI AI WO. Love Idle

2005年12月12日(月)

ヘッセの蝶

中學だか小學校だかで國語の教科書(教育出版、だつたと思ふ)にあつたへルマン・ヘッセの珍しい蝶の標本を巡る二人の少年の片方の囘顧録を讀まされたのだが、そのせゐで、ヘッセがどうも好きになれない。

たしか、その片方がその事件があつた年くらゐの自分の子供に面つて囘顧する形式だつたのだが、〈普通〉の少年で、蝶を集めるのが好きだつた彼が、學校の同級の金持ちの子の持つてゐる珍しい蝶の標本の噂を聞きつけてぜひとも見せて欲しいと拜んで見せてもらつた。さてここが核心であるのに記憶が曖昧なのであるが、その金持ちの子息がゐなくなつたときに、欲しさに負けてその蝶をくすねてしまひ、後で後悔して戻さうとしたのか、或は單に觸つただけか。いづれにせよ、蝶の標本は崩れてしまひ、それを見つけた金持ちの子息に厭味たらしく云はれてその少年はすつかり後悔して自分の標本を全部つぶしてしまつた。

かうしてつぶさに振り返ると自信がなくなるが、そのときはたしかに、少年が一人自身がすべて惡いやうに思つて潰したのだと思ひ、金持ちの子の〈見せびらかし〉にいくらかは相殺されようよと思つたのだつた。でも、やはり、潰す必要があるとか潰す形で責任を取らうとするのとかには違和がある。潰したのは、吉都彼が蝶をほんたうには好いてゐなかつたからなのではなからうか。

19:11

  • 蝶じゃなくて蛾 (ヘッセさん) 05 12/12 22:32
  • のやうですね。宛てにならぬ記憶。『少年の日の思い出』といふ題のやうです。 (kzhrさん) 05 12/12 23:35
a(半角)と入れてください。
 
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