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2005年10月25日(火)

めづらしく書くことがある

吉田健一『ヨオロッパの世紀末』讀了。以下ヨーロッパの語源について「一般にヨオロッパというのはゼウスとヨオロッパの伝説に由来すると考えられている。しかし事実はむしろ逆で先にヨオロッパの名称があり、それが牛に形を変えたゼウスに小アジアからダアダネルス海峡を越えて運ばれたヨオロッパという女の伝説になったとなすべきであって単にこの海峡を超えるだけのことならば金羊毛の伝説でもそれが扱われ、その上にヨオロッパが運ばれたのはクレタ島であって、むしろヨオロッパの名称そのものはアッシリア人が自分たちが居るところをアス、太陽の国と呼び、その西方がエレブ、あるいはイリブ、日没と暗闇の国だったのが時代とともに訛ってアジアとヨオロッパになった(後略)」(岩波書店〈文庫青194-2〉、1994、p.236)とあり、文章を讀むだけで仕合せになれる類の著者である。昨日は富岡多惠子の『釈迢空ノート』を急いで讀み返却し、迢空についてあらたな認識を抱いたのだが、死者の書を取り上げた段で、最初の發表が殆ど論文であつたことを觸れないのはかまはないのだけれど、水の滴りによつてはじまる、皇子の目覺めについて何も觸れてゐなかつたのはなぜだらうといま思ひかへす。坂口安吾『墮落論』(角川書店〈文庫緑 100〉、1957、1976)を拾ふ。なんといふか、「日本を見失うはずがない」(「日本文化私観」)といふ自信に慣れなくて、挫折する。

しかし、名前といふのはなんと厄介な代物。RDBMSの、名前のテーブルとその「中身」のテーブルとに私の腦内に分けてゐれられてゐて、連結が解かれてしまつてゐるかのやうな。

21:10

  • リーダーズ英和辭典(第2版、研究社、2002)に[L<Gk Eurōpē<? Sem=the land of the setting sun]とする。 (kzhrさん) 05 10/25 21:17
  • 文字實體參照がつかへないのね。しかたないのでログを直接操作:p (kzhrさん) 05 10/25 21:19
  • クレタではゼウスは慥か年毎に死しては再生するゼウス・クーロンといふ神格として祀られてをつたと記憶します。印欧語族の数少ない共通神のゼウスですが,希蝋への土着に当つてはより亜細亜的な在来信仰との習合を果したといふ事ですね。 (ふかはさん) 05 10/27 22:14
  • 毎年死ぬといふのは「死せる王」とかいふ話を思ひおこしますが例によつて固有名詞が思ひだせません。どうしよう。 (kzhrさん) 05 10/27 23:41
  • フレイザーの『金枝編』ですかね。 (ふかはさん) 05 11/9 11:28
  • たぶんその中のですね (kzhrさん) 05 11/9 13:06
a(半角)と入れてください。
 
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