昨日の本(伊藤幸作『タイポグラフィ』)のp.40は全體的に謎。著作權と、各社の書體に「バラつき」があるのは全くの別問題。やつぱり、駄目な本かもしれない。
假名書體を作つてゐて、どの字が一番難しいか、といふと、縮尺するだけといふお粗末な處理しかしない小書き假名なら簡單だ、とは言へるが、難しいといふのは、どれも今の私には難しいのであつて、しかし極めるために、調整に時間が掛かる文字、といふ觀點からいくと、「あ」は最も難しい字の一つと云つてよいのだとは思ふ。「え」や「お」、「な」なんかも難しい字だ。「ひ」も難しいと感じる。
「あ」が難しいのは、十字にまとふ「の」の字、といふのが難しいのだ、と思ふ。おまけにこの「の」の字ときたら、意地の惡い楕圓なのだ。だからこそ、岩田明朝體の「イワタ明朝體オールド」の「あ」でないほうの「あ」をよいと思ふのだが。「え」は、點を撥ねてくつと引き、折り返した伸び、そこから彈むやうに描く放物線のバランスが、うまく極まらない。「お」は、縱にすうとおろして撥ね上げるのが鬼門だ。それさへ極まれば後はうまく流せばよい。「な」は、ややもすると縱に細くなりすぎる。下膨れはぶきつちよだ。兔角この世(略)。「ひ」は、UといふよりOを聯想する下に向かふ膨らみ。六號の覆刻に限ると、「は」「る」などの小さい丸、「ね」「れ」「わ」などの大きな折り返しなども難しいが、この系は書體史のなかの特異點とも思ふので、よしとする(謎)。
23:14
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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