ようよう涼しくなりけるなかに、歩き囘りもせで紀伊國屋書店にこもれば、『目白雜記』の殘り『舊かな入門』の消えたりを見つ。さらに讀みいけば、『徹底抗戰! 文士の森』とかいふ、文士なるとうに消えたる商ひを戀ふは哀れなれど、その中に書かれたる、あさましき目次に大塚某を輕蔑もする心地にぞなれる。
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——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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