闇のなかにゐた
闇は恐ろしい
すべてを吸ひ込み
無に還す
――ウーチヤブランヤメイミイラキ
手を伸ばす
不思議と體は丸まる見える
天射す月影もない!
こゝはどこなのだ
ひとりにしてくれるな
――ウーチヤブランヤメイミイラキ
さつきから響く
誰かの聲――とても懷かしい
だが、誰だ
目見開くとても
吾が目は明いてゐる
ああ、恐い、恐いのだ
――ウーチヤブランヤメイミイラキ
22:10
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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