ウィキペディアとは何か。ウィキペディアとは、ウィキペディアはインターネット上で作成、公開されているオープンコンテント方式の多言語百科事典であ
ります。
附加へて言ふならば、ウィキ形式(基本的に誰でも自由にページが作成でき、編輯でき、消去できるソフトウェア。もつとも、ウィキペディアでは削除は自由ではないのですが)をもちゐて、オープンコンテント、すなはち自由な利用が可能な百科事典(人類の知識の集積。啓蒙主義の産物ですが、多分、獨裁主義以外のあらゆる政體で有用です)を作つてゐるプロジェクトです。
何が正しくて何が誤りであると言ふのは、かういふものにつきまとひがちです。ウィキペディアでは、NPOV、中立的な觀點といふポリシーをもちゐて解決を圖つてゐます。中立的な觀點とは、一つの事象に對して、世にある見方、たとへば、地球は太陽の周りを廻つてゐるだとか、それをすべて書くことです。
ぢやあ、太陽は地球を廻つてゐると言ふ、今ではほら話でしかないことも同等に扱へと言ふことか? と、どこかから聲が湧き上がつて來るかもしれません。しかし、そんなわけはありません(尤も、私の立場としては、地球は太陽を廻つてゐるといふことは、太陽が地球を廻つてゐると言ふことより眞實に近い、と言ふだけに過ぎません)。
ウィキペディアではなぜ總ての見方を記せといふのでせうか。それは、執筆者が其の事象に對しての判斷を避けんがためなのです。ですから、一つの意見が主を占めて、もう一つはほとんど顧られないやうな場合。其のときは、執筆者はその事実をそのままに記すべきです。かやうにして、ウィキペディアは成り立つてゐます。
そして、ウィキペディアは多言語プロジェクトです。一つのプロジェクトで展開される言語數としては最多でせう。200を越える言語で百科事典の中身が書き進められてゐます。そして、日本語版はその中の一つです。
英語版から始まつたので一番多く、先日35萬項目に達しました。日本語版もプロジェクト内で3位の大きさで、7萬5千項目に達しようとしてゐます。日本語版は、まだまだ人類の知識の集積と呼ぶには、驛とかテレビ・ラジオ番組とかガンダムとか聲優とか、データベース的な役割しかそんなに果たせそうにない項目が多いのは否みやうのない事實です。
しかし、なぜ今日私はこんなに筆を費やしてウィキペディアを紹介してゐるか。それは、あなたにこのプロジェクトの一員となつて、知識の集積作業の仲間になつて欲しいからです。そして、百科事典が百科事典たるべき、網羅性を、知識の集積を一層深められたらと思ふからです。
私の言葉は小さい。しかし、もし參加してみて、すこしでもこの作業の手助けになれるな、と思つて下さつたら。さうしたら、あなたのそばにゐる、知合ひにウィキペディアのことを廣めてくれませんか。さうすれば、ひとりの言葉は大きくなれる。
人の知識は、死んだらお終ひです。しかし、百科事典の形にすることで、その知識は一人の人間にはできない普遍性をもつことが許されるやうになります。
ウィキペディアは、貧しくてインターネットにアクセスできないやうな人でも、實は見ることができるのです。それは、ウィキペディアが自由であるから、印刷しようが、それをばらまこうが勝手で、ボランティアが安上がりに配るのが實に容易です。(だからこそ、ウィキペディアでは著作權侵害にやたら嚴密なのです)ウィキペディアに書くと言ふことは、あなたの知識を殘すと言ふことにとどまりません。世界を驅けて擴がります。日本語なんて、と卑下するあなた。青年海外協力隊とかが、使ふと言ふことを考へてみませんか。
長い文章をこれにてお終ひにします。讀んでいただきありがたうございました。常々「私の」文章は編集や商用以外の目的に使用自由としてをります。が、この文章に限り文意が變らない限りで、どのやうな利用も認めます。つまり、飜譯しようが常用漢字・現代仮名遣いに勝手に變へようが、全く構ひません。その代はり、より多くの人に傳へてくださると時間をかけた甲斐が報はれます。
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——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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