午のことだつた。昼餉の辨當を食べてゐるところに、後ろの女學生らが、携帶電話から歌謠曲を流してゐた。ペッパー警部に續いてある曲が掛り、それは、言葉の響きからして洋樂のように思はれた。しかし、學生のひとりが、それに合はせて謠つてゐる――日本語で。一瞬、何で洋樂にわざわざ日本語を宛てるのだろうと聽いてゐたが、氣附いた。これはJ-POPの範疇にある曲なのだ、と。不思議なことである。たしかに、聞いてみれば、言葉の端々は日本語のやうに聞こえる。だが、ペッパー警部の言葉は聞き取れたが、今掛つてゐる曲はどうやつても「りき」しか聞き取れない。そのときさつと頭を掠めたのはモーニング娘なるアイドルグループである。あれは、歌はどうでもいいので、そのキャラクターだけを賣り物にする得體の知れぬものであるが、この曲はまさにあのグループにうつてつけであるやうに思はれた。キャラクターと言ふ得體の知れぬものが、TV畫面の中で、BGMにあの無意味な音樂を垂れ流して、蠢いてゐる……。無氣味な聯想であることだ。
22:04
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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