婦人の腕には、しっかりと編まれた籐のバッグがあり、そのなかには、これだけの土地を買うには二十分のお金が入っている。若しかしたら、区内でも同じだけの土地を買えるかもしれない。婦人は、歩いてきた農家らしき男に、声をかけた。
「あの、」
「ん、なんだ。」
男は、疲れ切った目をしていたが、見慣れない女の姿を認めると、途端に警戒とも取れる目付きになった。
「あの、この堤防沿いの土地を、いくらか買いたいんですけれども、どなたから買えばよろしいのでしょう。」
「堤防沿いの土地?」
男はより一層警戒心を強めたと見える。
「ええ、店を開くのに丁度良さそうで。」
<続>
21:59
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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