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立秋を明け、お盆も過ぎて、最期とばかりに蝉が鳴りし切っている。ある婦人が、川沿いの堤防の裏の、更地となっている場所を眺めている。
戦争に負けて大分経ち、気の早いやつ等は既に戦争のことを忘れている。区内の開発もほとんどし尽くし、段々と、東京の郊外へと開発の手は拡がって行く。郊外も果ての、田畑曠がるこの土地にすら、時折不動産屋やら、鉄道会社やらが、手をすり、金を見せ、時には法律を手にとって、田畑を潰していく。
そんな中、ある婦人が、川沿いの堤防の裏の、更地となっている場所を眺めている。
<続>
21:55
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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