「…警察の方には、この方が物事の道理と言うものをちゃんと理解できるようにご指導していただくよう強く申しておきましょう。それより、」
と、婦人は目を青年からあの客へと向けた。
「ありがとうございます、ここまでして頂いて。」
客も、少し目を緩めた。
「いえ、これ位。」
「足が御速いんですね。」
「いえいえ、若い頃に比べれば。」
「まあ、そんな頃と比べちゃ為りませんよ、今は今、昔は昔。同じ目線で見るとしっぺ返しを喰らいますわ。」
「ふふ、そうですね。」
「それに、この方、足に自信があるからこそ、あんな暴挙に出たんで御座いましょう、そういう方にあそこまで早く追い附くのは、矢張りすごいですよ。」
<続>
21:55
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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