「おばちゃん、ストロベリー、一つ。」
と、子供が声をかけた。婦人は、ああ、と、振り向き、そちらに行こうとした。店の前に並ぶベンチを離れ、氷の台へ向おうとした、そのとき。
だっ、がちゃん。
駆け出す音がして、遅れて割れる音がした。
(仕舞った…!!)
婦人は、急いでそちらに駆け出そうと、向こうに向き直った。すると、あの客が、食い逃げ客を追っているのが見えた。
(あ…。)
婦人は、一瞬固まって、すぐはっとして、駆け出した。あの客は、大分年だろうに、ぐんぐん、若者の客へと吸い付くかのようだ。そして、若者の肩を掴んだ。
<続>
19:00
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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