「おばちゃん、おばちゃん。」
「あ、はい、何?」
「ええっとね…。」
不審な客に許り気を裂くことも出来ず、子供たちを捌きに掛かる。客はもくもくと食べているが、時々、ちらちらとこちらを見てくる。婦人は、声を掛けてみた。
「何か、なさいました?」
「い、いえ。」
客は、声を掛けられて、びくっとした。婦人は益々怪しむのだが、いつも以上に込む店で、それ以上の対応は出来そうに無い。
客は、一皿食べ終えると、氷を待つ子供たちの後ろに並んだ。
<続>
18:10
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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