「すいません。」
急に声を掛けられて、はっとした。
「あ、なんでしょう。」
「ハワイアン一つ。」
「おばちゃん、」
「待ってね。この人が先よ。」
新しい客が入ってきた。それに続いて、子供たちが雪崩込んでくる。婦人はそれに動じず、丁寧に応対していく。
「はい、ハワイアン。」
「お金は…。」
「食べ終わってからですよ。」
「そうですか。」
客の顔が、妙にニヤニヤしているように感じたのは、気のせいだろうか。
<続>
18:16
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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