Diary/ + PCC + — HIMAJIN NI AI WO. Love Idle

2003年8月11日(月)

夏(9)

「五歳です。」
「可愛い盛りですね。」
と、婦人は、小豆を掛けて、一つ目の氷を手渡した。
「ふふふ、お変わり有りませんね、前と。」
 受け取りながら、客が応える。
「ええ、この辺りはすっかり変わって仕舞いましたけど、私だけは。」
「私もあれから変わりない積りでしたけど、結婚して仕舞いまして。」
 結婚と言うのは、して仕舞うと言いたくなる様なものなのだろうか、と、婦人は考えてみた。
「はあ、私は独身ですから、そういうことには疎くて。」
「…え。」
「…どうかしました?」
 思い掛けない事に、婦人は手を止めた。
「い、いえ、何でもないです。」
 客の目がきょろきょろしだしたのに、婦人は、何かを感じた。

<続>

16:27

a(半角)と入れてください。
 
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