Diary/ + PCC + — HIMAJIN NI AI WO. Love Idle

2003年8月10日(日)

夏(8)

「こんにちは。お久しぶりですね。」
 …あの客だった。
「ああ、あの時の。」
と、老婦人はそうとだけ言って下を向き、氷を削るハンドルを廻し始めた。客は二つ氷を注文した。婦人はそっと、客を見上げた。

 客の手を握る手。大きく、ごつごつした、昔と大差ない細身を保った体とまた違和感を感じさせる手に、赤々として、柔らかそうな、小さな手がしっかと握られている。
「お子さんですか?」
と、婦人は聞いた。
「ええ、まあ。」
「小さいんですね。」

<続>

17:49

a(半角)と入れてください。
 
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