Diary/ + PCC + — HIMAJIN NI AI WO. Love Idle

2003年8月8日(金)

夏(6)

老婦人は、その後、その客に何も話し掛けず、ただ眺めた。
――優しそうな目付きをして、すらっと細身の体が、宇治金時と頭のなかで噛み合わなくって、可笑しい。
 その視線に気付いたのか、客が婦人の側を向き、
「どうかしました?」
と尋ねてきた。婦人は慌てて、
「いえ、何でもありません。それより、雨が落ち着きませんね。」
と答えるので精一杯だった。
「そうですね。」
 その客は、変なのとも、微笑したとも取れる表情をしていた。

客は、食べ終わった後、暫らく座っていたが、雨が小振りになると、
「ありがとうございました。」
と言って、出て行った。

<続>

16:45

a(半角)と入れてください。
 
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