兎も角、眺め続けるより他ない。たまに、雨がざあざあになって、客が着ては、いくらか飲み物を買って、雨が落ち着くのを待って、しとしとと降る雨の中へ飛び込んでいく。
こういう風景というものは、見ていて、餘り、退屈を紛らわしてはくれない。ぴちゃん、ぽちゃん。雨が降る。ざあざあざあざあ。土砂降りが降る。
その人が来たのも、こんな日だった。軒端に人が駆け込んで、雨止みを待って去る天気の日。だが、その人は、他の人とは、どこかが違うのだった。
<続>
21:57
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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