夏だ――夏と言えば、欠かせないものがある。
「わあい、欠き氷。」
子供の声があがる、昔風の店先。簀の子に足が生えたような感じの長椅子が店先に並び、その上には、「氷」と筆文字で書かれた、氷売りの証が引っ掛けてあり、瓦でもトタンでもない、板葺きの斜めがかった屋根で暗くなった中には、欠き氷を削る機械と、氷の入れ物と、顔にしわの幾線も入って、氷をはしゃいで食べる子供等をにこにこと見守る老婦人とが在った。この店では、老婦人がずっと切り盛りしている。
この老婦人には、今でも覚えている客が有る。
<続>
21:57
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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