・築地系初號「あ」・(恐らく)日本活字工業二號「あ」・岩田母型12pt「あ」「くの字點」「ゝ」「々」・大日本印刷の寫植見本帳
活字の竝んだ棚を見てゐたら、府川さんがゐたのでびつくりして思はず變な動きをしてしまつたのだが、一方的に知つてゐるだけなので、ただ變な動きをしてゐる人だと見られたであらう。そのやうな人物を覺えておいででしたら、それが私です。
聲をかけようにも勇氣が出ず、12ptの棚から活字を拾つて、會計を兔も角も濟ませてから、と思つたのだが、12ptの活字をすぐに12ptだとわからず、くの字點の活字を二號にあはせてみたりして、不安になつてゐるうちに、府川さんはもうお歸りになつてゐた。
なんとなく悔しいので、隣のリブロで色々本を見て――『真性活字中毒者読本』を置いてゐる店を始めて見た――、高いなあとため息をつき、結局『孔子伝』(白川静、中央公論新社<文庫>、1991、2003)を買つて、歸つた。岩田の活字のスケールを買ひたかつたが、どうやつて取つていいのかわからないし、府川さんは今にも歸りさうであるし、との焦燥の中、失念したまま歸つた。
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——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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