逃げるな、とおつしやいますか、
ならば、腕に深く赤く傷をつけてください、
さうしてきつくきつく鎖を卷いてください、
さうすれば、傷は私の体に永遠に殘り、
一層貴女の虜となることでせう。
まだたりないと思ふのなら、
首に輪でも掛けるといい、
さうすれば傷で弱くなつた腕に、
引きちぎる力は無いでせう。
それでもまだたりないと思ふのなら、
首輪を解《と》き、
鎖を解《ほど》いて傷を療せばいい、
さうして午後三時の紅茶の席に招き、
何も混り氣のない紅茶を一杯ください――
さうすれば私は、
髄から髄まであなたの虜となり、
見えない檻に閉ぢこまるのです…。
21:40
——貪欲と嫌惡と迷妄とを捨て、結び目を破り、命を失ふのを恐れることなく、犀の角のやうにただ獨り歩め
(中村元譯『ブッダの言葉 スッタニパータ』74詩、岩波書店、1984)
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