Diary/ + PCC + — HIMAJIN NI AI WO. Love Idle

2003年8月12日(火)

夏(10)

「はい、もう一つ、宇治金時。」
 婦人は、わざと客の狼狽を無視した。
「すいません。いくらですっけ。」
「普段なら二つで三百四十円ですけど、特別に、お安くしておきます。二百五十円でいいですよ。そのかわり…、またその子を連れてきて頂戴ね。」
と言い、婦人は微笑んだ。客もつられて笑う。
「パパ、食べよう?」と、今まで黙っていた子供が客の手を引っ張った。
「あ、ああ、食べよう。」

客はそれなりに「父親業」が様になっていた。穏やかそうな家庭が、婦人の脳裏に浮かんだ。幸せな家庭で、きっとこの子は育っていくんだろうな、そういう幸福が、あるのに違いない、婦人はそうとも思った。

<続>

19:02

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